STEP1|新NISAで投資を始める前に自分に問うべき3つの質問

新NISAを始めようとネットや書籍を調べると、必ずと言っていいほど目にする言葉があります。
「暴落しても耐えられますか?」「30%下がっても売らない覚悟はありますか?」

一見すると正論に聞こえるこの問いかけ。しかし三空博士は、この言葉に違和感を感じます。

👩
生徒・アヤ(27歳・会社員)

SNSで「投資は下がっても我慢できる人が勝つ」って見ました。
私、我慢強い方じゃないから……向いてないのかな?

三空博士

我慢できる人だけが儲かるほど、投資は単純じゃない。
むしろ、我慢する投資は、投資の本来の姿じゃないんじゃよ。

なぜ「耐えろ」という言葉が一人歩きしたのか

本来、長期投資とは「耐える行為」ではありません
それは、価格変動を前提として織り込んだ上で設計するものです。

しかし現実には、こんなパターンが非常に多いのです:

  1. 「とりあえず始めてみよう」と新NISA口座を開設
  2. 人気の全世界株式やS&P500に毎月3万円を積立開始
  3. 最初の3ヶ月は順調に増えて「これなら簡単だ」と錯覚
  4. 突然の急落で評価額が10万円→8万円に下落
  5. 慌てて「長期投資 下落 対処法」で検索し、「耐えろ」という言葉に出会う
⚠️ 後付けの長期投資

投資を始める前に想定すべきことを、下落してから学ぶ──
想定内だったのか、想定外だったのかが、後の投資成績やマインドに深くかかわってきます。

👨
生徒・タクヤ(24歳・社会人2年目)

でも僕、下がることは分かってたつもりでした。
YouTubeでも「長期投資は下がっても続ける」って何度も聞いてたし……

三空博士

「知っている」と「想定している」は、天と地ほど違うんじゃ

例えばこう考えてみよう。
「転んだら痛い」ことは誰でも知っている。
じゃが、実際に転んで膝を擦りむいたら、思ってた以上に痛いじゃろう?

「不快ドローダウン」という見えない落とし穴

投資の世界には「不快ドローダウン」という概念があります。
これは、金額以上に精神的なストレスが大きくなる下落状態を指します。

📉 実例:30代会社員Bさんのケース
  • 投資額:毎月5万円 × 6ヶ月 = 30万円
  • 最高評価額:33万円(+10%の含み益)
  • 下落後:27万円(-18%)
  • 損失額:実質3万円
  • 心理的影響:「毎日アプリを開いて確認」「仕事中も気になって集中できない」「夜眠れなくなった」

金額としては、毎月の積立額より低い3万円の含み損です。
しかし、Bさんにとっては「初めて経験する投資の下落」であり、
「この先もっと下がるのでは」という恐怖が日常生活を侵食し始めました。

不快ドローダウンの3つの症状
  • 精神的負担:含み損が気になって日常生活に支障が出る
  • 判断麻痺:「様子を見よう」と先送りし、損失が拡大する
  • 目的の逆転:「利益を出すこと」ではなく「耐えること」が目的化する

ここで本当に問うべきなのは、「耐えられるか?」ではありません
そもそも、「耐えるという感情論が投資に必要なのか?」です。

👩
アヤ

じゃあ、どうすればよかったんですか?
始める前に、何を考えておくべきだったんでしょう?

三空博士

うむ、良い質問じゃ。
初心者が新NISAで勘違いするのは、元本が「全部なくなる」という可能性を知らないことなんじゃ。
多くの人は「長期投資なら安全」という言葉の「安全」の意味を誤解しておる。

STEP1で本当にやるべきこと

新NISAを始める前、ステップ1で考えるべきなのは銘柄でも利回りでも制度の詳細でもありません
それは、この3つの問いです。

✅ 投資を始める前に自分に問うべき3つの質問

❶ このお金は「最悪、半分になっても人生が破綻しない金額か?」

例:生活費、教育資金、住宅購入の頭金、緊急時の医療費──これらは絶対に投資に回してはいけないお金です。「余裕資金」とは、「最低1年間は使わなくても困らない金額」を指します。

❷ 途中で引き出せなくても、生活に問題はないか?

新NISAは途中売却可能ですが、下落時に売ると損失が確定します。最低でも3〜5年は引き出さない余裕をもって始めるのが理想です。

❸ 制度や前提が変わる可能性を、理解しているか?

新NISAは2024年に始まった制度です。過去、ジュニアNISAは廃止され、つみたてNISAも制度変更されました。「今の制度が20年後も同じ」とは限らない──この前提を持つことが大切です。

⚠️ 多くの初心者が、この3つの問いを「面倒だから」とスキップします。
しかし、ここを飛ばした人ほど、下落時に「こんなはずじゃなかった」と後悔するのです。

💡 具体例:「無理のない新NISA長期投資」とは

ケースA:28歳会社員・手取り22万円
  • 生活費:月18万円
  • 貯金:100万円(生活防衛資金)
  • 投資額:1万円(余剰の約25%)

このケースでは、仮に投資分が半分になっても生活は揺るぎません。なぜなら、「失っても困らない金額」しか投資していないからです。これが「無理のない長期投資」の基本形です。

🔍 ここで一度、立ち止まってください

多くの人は、この問いを飛ばしたまま「商品選び」に進んでしまいます。

「全世界株式とS&P500、どっちがいい?」
「eMAXIS SlimとSBI・Vシリーズの違いは?」

それこそが不安と後悔の正体です。

商品を選ぶ前に、「自分は何のために、どんなリスクを取るのか」をしっかりと言語化しておかなければ、どんなに優良な商品を選んでも、下落局面で心が揺らいでしまいます。

次のSTEP2では、あなたの資産は新NISAでどれだけ下がる可能性があるのか?を三空博士に聞いてみましょう。

⚠️ 免責事項①
本記事は「暴落や含み損が出たときに、あわてず冷静に判断できる心の準備」をお伝えしているだけで、「どんな状況でも絶対に投資を続けるべき」という意味ではありません。投資によって睡眠が取れなくなったり、精神的にきつくなったり、生活や仕事に明らかな支障が出ている場合は、一旦距離を置く・売却するのも、とても賢明な選択です。 投資は人生を豊かにするための手段であって、健康や生活を犠牲にするためのものではありません。
⚠️ 免責事項②
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。