新NISAで月いくら積み立てればいい?|「正解の額」より「続けられる額」で決める
── 新NISAを始めようとしたとき、多くの人が最初にぶつかる壁があります。「月いくら積み立てればいいんだろう?」という疑問です。SNSや投資サイトを見れば「月5万円」「月10万円」「年間満額360万円を目指せ」といった数字が飛び交っています。でも、それはあくまで他人の基準です。本当に大切なのは「多く積み立てること」ではなく、暴落が来てもパニックにならず、「想定内として冷静でいられる金額」を基準に考えることが重要とされています。この記事では、自分に合った積立金額の決め方を、三空博士と生徒の会話を通じて整理していきます。
積立金額は「無理してでもできるだけ多く」ではなく、「暴落時にパニックにならずに淡々と続けられる上限」で決める考え方が一般的です。
長期投資における一つの傾向として、継続期間の長さが重要視されています。「いくら投資したか」ではなく「何年続けたか」にあります。
この記事では、①余剰資金の把握 → ②リスク許容度の確認 → ③年代・年収別の目安を参考にという3つのステップで、あなたの「適正な積立額」を見つけるフレームワークを提供します。

先生、新NISAを始めようと思っているんですが、月いくら積み立てればいいか迷っています。
職場の同僚は「月5万円にした」と言っていて、私もそれに合わせようかと思っているんですが…。
その同僚の方の月5万円は、その方にとっての正解かもしれんが、さくらさんにとっての正解ではないかもしれんのう。
金額を決める前に、一つ大事なことを質問してもええかの?
「もし来月から、積立資産が30%下がったとして、それでも売らずにいられるか?」じゃ。

30%…。月5万円で1年積み立てたら60万円ですよね。それが30%下がったら18万円が消えるということ?
それはちょっと…不安になるかもしれません。
その「不安」こそが、金額を決める上で最も重要な感情なんじゃよ。
とくに長期投資においては、「暴落時にいかに冷静でいられること」じゃ。
ちょっと整理してみようかの。
なぜ「続けられる投資」が最も重要なのか
長期積立投資の成果は、「いくら積み立てたか」よりも「何年積み立ててきたか」に大きく左右されます。
過去のデータを見ると、リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)のような大暴落でも、積立を止めずに継続した投資家は、その後の回復と上昇の恩恵を受けました。一方、暴落時に売却・停止してしまった投資家は、回復の利益を取り逃がしています。
つまり、無理をして短期間で投資をやめてしまうよりも、「無理のない金額で長期間」継続する方が、長期的な資産形成の観点からは着実な歩みにつながりやすいと考えられています。
自分に合った積立金額を決める「3つのステップ」
ステップ①:毎月の「投資可能額」を把握する
まず最初のステップは「手取り収入 − 生活費・固定費 − 緊急予備費の積立」を計算することです。これが投資に回せる上限の目安になります。
重要なのは、生活防衛資金(*生活費の3~6ヶ月分)を先に確保することです。この緊急資金がないまま投資を始めると、急な出費のたびに投資を崩すことになり、本来の長期運用が台無しになります。
*フリーランスは12か月分など、目安は個々のリスク許容度によります。
- 手取り月収:28万円
- 生活費・固定費(家賃・光熱費・食費など):18万円
- 余剰資金:10万円
- このうち、毎月1~2万円を生活防衛資金として現金貯蓄
- 残り:8~9万円 = 投資に回せる「上限」

手取りが28万円で、家賃・光熱費・食費などを引くと毎月8万円くらい残ります。
でも、全部投資に回していいわけではないですよね?
その通りじゃ。8万円が余剰資金として残るなら、まずその中から毎月1~2万円を生活防衛資金として現金で積み立てる。
その残りが投資に回せる「上限」になるわけじゃ。いきなり8万円全額を投資に回すのはあまりにも危険じゃ。
ステップ②:自分の「リスク許容度」を確認する
投資に回せる金額の上限がわかったら、次は「自分がどれだけの下落に耐えられるか」を冷徹に確認します。これが「続けられる金額」を見つけるカギです。
目安として、投資資産が一時的に30~40%下落しても生活に影響がなく、精神的にも淡々と冷静に投資が続けられる範囲が適切な投資額と言われています。
下落時の含み損シミュレーション
※1年間の積立元本のみで単純計算。運用益は考慮していません。
| 月の積立額 | 1年後の積立総額 | 30%下落時の含み損 | 50%下落時の含み損 |
|---|---|---|---|
| 月1万円 | 約12万円 | ▲3.6万円 | ▲6万円 |
| 月3万円 | 約36万円 | ▲10.8万円 | ▲18万円 |
| 月5万円 | 約60万円 | ▲18万円 | ▲30万円 |
| 月10万円 | 約120万円 | ▲36万円 | ▲60万円 |
ステップ③:年代・年収を参考に「現実的な範囲」を確認する
最後に、年収・年代別の一般的な目安と照らし合わせます。あくまで参考値ですが、「自分の判断が大きく逸脱していないか」の確認に使ってください。
年代・年収別の積立目安
| 年代・年収 | 月額目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 20代・年収300万円台 | 月1~3万円 | まず「継続の習慣」をつくることが最優先。少額でも早く始めることが複利の効果が期待できます |
| 30代・年収400~500万円台 | 月3~5万円 | 住宅・教育費など中期的な支出も視野に入れ、生活防衛資金とのバランスを常に意識。 |
| 40代・年収500~700万円台 | 月5~10万円 | 老後資金形成の本番期。リスク許容度を再確認しながら、余力があれば増額を検討。 |
| 50代・年収600万円以上 | 月5~10万円(守り重視) | 無理な増額より「淡々と続けること」を最優先。同時に出口戦略(取り崩しプラン)の構築も開始。 |
※家族構成・固定費・既存貯蓄額・ボーナス有無により大きく異なります。あくまで目安です。

私は38歳で年収は450万円くらいなので、月3~5万円が目安になるんですね。
同僚と同じ月5万円でも範囲内ではあるけど、ステップ②の表で見ると、30%下落で18万円の含み損は少し不安を感じるので…。
まずは月3万円から始めた方がいいかもしれません。
うむ。
無理が一番いかん。自分のリスク許容度や精神的な耐性に合った、長続きできる投資こそが本来の投資の姿じゃよ。
よくある質問:積立額に関する疑問
Q1:積立額は途中で変えてもいいですか?
新NISAのつみたて投資枠は、積立金額をいつでも変更・停止・再開できます。最初は少額で始めて、生活に余裕が出てきたタイミングや、ライフステージのリスク許容度が変わったタイミングで調整するのが現実的です。
Q2:新NISAの年間投資枠(最大360万円)を使い切るべきでしょうか?
新NISAの非課税期間は無期限で、生涯非課税保有限度額は1,800万円です。つまり「急いで埋める必要」はまったくありません。「10年かけて続けること」の方が「仮に5年で満額を埋めて投資をやめること」より、長期的には大きな差を生む可能性が高いのです。
Q3:ボーナスが出たときに一括で追加投資してもいいですか?
新NISAの成長投資枠(年240万円)を使って一括投資することは可能です。ただし、一括投資は購入タイミングによる影響を受けやすいため、「毎月の積立をベースにしつつ、ボーナスの一部を成長投資枠で追加投資」という形が、多くの人にとって扱いやすい方法です。
最後に:「正解の額」より「続けられる額」で決める

「いくら積み立てる」という金額よりも「続けられるかどうか」が大事なんですね。
まずは月3万円で始めて、自分がどう感じるか確かめてみます。
それで十分じゃ。投資は「始めること」より「続けること」の方がずっと難しい。
余裕をもって月3万円で10年続けた人と、月10万円で無理をして、3年で止めた人を比べると、多くの場合で前者の方が最終的な資産形成にプラスに働くじゃろう。
淡々と、自分のペースで続けること。それが長期投資の本質じゃよ。
新NISAの積立金額は、一般的な「推奨額」にとらわれすぎず、ご自身の収支バランスやリスク許容度に基づいた「無理なく続けられる範囲」を一つの目安にするとよいでしょう。
投資は「始めること」以上に「自分に合ったペースで続けること」に難しさがあると言われます。 新NISAの活用においても、他人の投資額と比較するのではなく、ご自身のライフステージやリスク許容度に合わせた設定が大切です。本記事で紹介したステップはあくまで考え方の一例ですので、まずはご自身の家計と向き合い、「これなら無理なく付き合っていける」というラインを探ってみてはいかがでしょうか。
⚠️ 重要な免責事項
本記事は、新NISAの積立金額に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の個人に対する投資助言ではありません。記事内の目安・シミュレーション数値はあくまで参考値であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
積立金額は、ご自身の収入・家族構成・固定費・既存貯蓄・人生設計など、個人の事情に大きく左右されます。本記事の「年代別目安」や「リスク許容度の判定」は、一般的な参考値に過ぎません。
投資には元本割れのリスクが伴います。過去のシミュレーション(例:「30年で年率7%運用」)は、将来の成果を保証するものではありません。また、市場環境・政策変更・個人の事情など、予測不可能な要因により、実際の結果は異なる可能性があります。
最終的な投資判断は、ご自身の責任において、必要に応じてファイナンシャルアドバイザーや投資の専門家への相談も検討しながら行ってください。新NISAの制度詳細は、金融庁公式サイト(NISA特設ウェブサイト)でご確認ください。
